ティフアニーで朝食を/カポーティ

ティファニーで朝食を (新潮文庫)

ティファニーで朝食を (新潮文庫)

 「冷血」を読んで気づいたんだけど、これだけ有名な
この作品をまだ読んでなかったので慌てて借りて読んだ。
映画と全然違う、と言われたとおり、ヘプバーン演じた
ホリーと確かに別人物。どっちが良いかと言われても、
どっちもそれなりの良さがありますね、としか
言い様が無い感じ。


しかし、「ティファニーで朝食」って発想はもとより、
                   トラヴェリング
「ミス・ホリディ・ゴライトリー 、旅行中」という名刺もすごい。
今はカリスマ営業マンとかが写真入りやら絵や色付でいろいろインパクトある
名刺を作ってるらしいけど、これほど一回見たら一生忘れないような
名刺って他にあるだろうか。
カポーティという人が現代でコピーライターやっても大物になったろうな。


でも実はこの表題作より最後に収められていた
「クリスマスの思い出」という作品の方が印象深かった。
主人公が7歳の時、60歳の「いとこ」のおばちゃんと
クリスマスの準備にいそしんだ日々の回想。


貧しくて、家庭はどうも複雑だったようだけど2人で楽しくて
しかたなかった思い出をつづる一見地味な作品だけど、
あの「冷血」の作者がこんな綺麗な絵本みたいな作品も
書いていたのだなあと驚いた。
思い出が綺麗すぎて、予想通りの結末にもなんだか泣けた。
流行の「純愛」なんかでなくても泣ける作品て一杯あると思う。