わたしを離さないで/カズオ・イシグロ

わたしを離さないで

わたしを離さないで

 初めて他人のレビューを見て読んでみよう、という気になった。

http://mixi.jp/view_item.pl?reviewer_id=27156&id=475217
(見れない人、ごめんなさい)

もちろん他の著作も読んだ事が無いので、どのジャンルの作家かすら
知らないで読み始めた。
物語は主人公のキャシーという女性の回想録から始まる。
彼女が育った施設の思い出を淡々と語る。
あまりにもきめ細かく、リアルで学園生活というものを送った事が
ある人なら必ず親近感が沸くような描写。
どこの国の人だろうと、子供時代、青春時代に思うことや感じることは
似てるもんだなと思う。


でも、読み始めて早いうちから出版社の紹介文にあるその「施設」の
「驚愕の真実」の内容にはすぐ気づいてしまった。
おそらく映画やSFを見慣れてる人ならすぐ思い当たるような内容。
ここでちょっとなーんだ、と思ってしまったのは間違いだった。
その「驚愕の真実」と同じような題材の本や映画は沢山あるだろうと
思う。でもこの本が描こうとしてるものは全く別物。
物語はずっと静かに続き、そのまま終わる。だからこそ後で
じわじわ来る感じ。こういう物語の語り方ってあるんだ、と驚いた。


面白いか面白くないかと言われたら、誰にでもお勧めはしない、とだけしか
答えられないかも。ただ、読んでよかった。
他の本も借りに図書館に行くことにした。