「ク・ナウカで夢幻能なオセロー」

aru002005-11-04



招待を貰ったので、pin-eauさんをお誘いして
会場の東京国立博物館へ。


初めて行ったけど、とにかく広い。既に暗い敷地内ではどうやら
本館で「サド侯爵夫人」が上演されているらしく、本館前の大きな木が
赤や黄色にライトアップされ、本館の壁一面に三島の顔や新聞記事、
満開の桜、金閣寺など三島のイメージ画像が一面に音楽とともに
投影されていて幻想的な雰囲気だった。
毎晩こんなライトアップしてたら散歩しに来たいな〜
写真撮ったら三島の心霊写真みたいになった。
あーでもこっちの上演も見たかった!!!

http://mishimayukio-project.com/main.html


上演時間が近づき、整列して会場の日本庭園へ入ると
池の前に特設の能舞台があり、客席は東京ドームの屋根だけみたいな
エアロシェルターで覆われてる。寒いのでちゃんとひざ掛け用の
毛布まで用意してあった。
丁度3列目あたりの舞台に座る役者さんとほとんど同じ目線のところに
座ってしまったので妙にこっちが緊張してしまう。声もそうだけど、
気迫というか目線が皆さん鋭くて。


夢幻能、ということでオセローに不貞を疑われて殺された
デズデモーナが蘇って身の上を語る、という内容だったけど
デズデモーナ役の女性が本当に幽霊のように怖くて綺麗だった。


セリフを言う「話者」と演じる「動者」を別々にしているのが
ク・ナウカの特徴だそうだけど、そのせいか演じる人が人形の様に
見えて凄みが増していたような。(実際人形浄瑠璃を意識してる模様)
場面に合わせてライトに浮かび上がったり沈んだりする
背景の蓮池と茶室も不思議な雰囲気。


幽玄な場面ばかりでなくてオセローを陥れるイアーゴーが
童話のずるがしこい狐みたいな狡猾でおかしいセリフ回しも良かった
(顔もそういえば狐系)。


二人が絡む場面は全く無いのに言葉だけで妙にエロチック。
「黒き牡白き羊と交わりて」
「白菊にしばし逡巡らう鋏かな」


そしてデズデモーナの白い喉がオセローの黒い手で締め上げられ。
彼女が消えるように舞台袖に下がって行く時は本当に悲しくなった。
感動のラストのはずが、最後の全員の挨拶の時に一人の役者さんの頭に
どこからか飛んできたバッタがちょこんと止まってるのを見て
吹きそうになってしまった。
まあ野外ならではですな。


でも、久々に本当に見てよかった、と思った舞台だったかも。
専用ブログも役者の素顔とか見れて面白いです↓

http://d.hatena.ne.jp/kunauka/