雑感

小泉首相靖国参拝の翌日、中国で働いてる友人からメールが。
ニュースは大概右から左だけど
知ってる人がいると他人事じゃないように感じる。
ちょっと考えさせられたので記録がてらup。

首相が靖国神社に行ってしまいました。早速北京の日本大使館
から在留邦人に対し、不測の事態に巻き込まれないよう、注意
が出ていました。
こちらにいる企業人は銀行も商社も皆首相の参拝は勘弁して貰い
たいと思っているようです(そりゃそうだ)。
財界人が靖国神社参拝に反対すると石原慎太郎等は「靖国の問題
は経済と同レベルで語るべきではない」と言います。
「国よりも自分の金儲けが大事か」と言うのが真意でしょうがそれは
ちょっと違いますね。
商売というのは自分の利益だけを考えていてはうまくいきません。
必ずギブ・アンド・テイクが出来ていないといけない。そういう
意味で財界人はバランスが取れた考え方ができます。まして
中国に進出している企業の代表であれば中国との付き合い方や
考え方についてもある程度理解や知識がある。
ドメスティックな政治家よりもよほどバランス感覚があり正しい
判断ができるものと思います。


人間には以下の二つの資質が必要だと思います。
①スジが通っている
②バランスが取れている(バランス感覚がある)


スジは通っているがバランスが取れていない人というのは
「頑迷」です。石原都知事はこれでしょう。
一方、バランス感覚だけ−という人は他人から信用されません。
どちらかかたっぽしか持たないタイプの人がリーダーだったら
最悪です。


国の外交も基本は同じでしょう。国際社会ではバランス感覚というの
が必須です。国土が狭く、資源も持たない日本の生きる道は
昔も今も将来も「国際協調」以外にはあり得ない。
「国際協調」を貫くには必ずそこには妥協や我慢があるのです。


日本の現代史を見ると、幣原喜重郎犬養毅浜口雄幸といった
「国際協調」路線は「軟弱外交」と国民から突き上げられて
しまうんです。ひとりひとりでは思ったことも言えないか弱い日本人は、
それ故になのか、政府には「毅然とした態度」、タカ派的態度を
求めるんです。
今だって安倍晋三みたいなタカ派政治家が人気あるでしょ?
実に危ないですね。


麻雀の上手い人と下手な人との違いは、降り方(諦め方)にあります。
下手な人は自分の手が大したことないのに無闇に突っ張
ってドーンと振り込む。上手い人は自分の手役の値打ちと、敵の手役
の値打ち(推測による)と、自分がアガれる可能性を全部考えた上で、
リスクが大きいと思ったら、我々だったらヨダレが出るような手役だと
してもあっさり降りちゃいます。
悔しいとか惜しいとかは関係ありません。


日清戦争の後の三国干渉に際しては伊藤博文ら日本の政治家は
オリました。相手が強すぎること、自分が弱すぎることを知っていた
ので。
日露戦争後のポーツマス条約でも国民は騒ぎましたが小村寿太郎
はオリました。
どちらも悔しくないわけはありません。


しかし昭和の日本では満州事変後オリませんでした。手役に欲が
あり過ぎて対手の手役などは気にしなかったから。ここらへんから
もう素人雀師。
アメリカ交渉でもオリなかった。でドーンと振り込んで箱を
かぶった(点棒がすっからかんになること)わけです。
樋口広太郎翁が言っています。「99%は成功する。でも残りの1%に
なった場合、壊滅的な損をするのであればその投資はしちゃいけない」。


小林よしのりは「リーダーたちはその時々で最善の選択をした」と
戦争論に書いてましたが、ただのタコ突っ張りを最善の選択と
するのであれば、まともな感覚と常識を持って警報を鳴らし
つづけていた同時代人(同じ軍人でも山本五十六・米内光正ら、
ジャーナリストなら石橋湛山)を馬鹿にし過ぎです。
対米戦争は失敗した場合壊滅的な損をするのが明らかで、且つ成功する
可能性自体殆どなかったわけですから。99%あったのにも拘らず残りの
1%になっちゃったというのであれば東条英機らにも幾ばくかの同情は
しますが−。


小泉首相靖国神社参拝なんてのはどうでもいいんです。
心配なのは相変わらず「リーチのみ」のタコ突っ張りが好きそうな
日本の国民です。国民の3割は先の戦争を「仕方がなかった」って
思ってるらしいですね。振り込んで「仕方なかった」と言えるのは
最初の1〜2巡だけです
(相手の手役を判断する情報が少なすぎるんで)。


「毅然」が好きな日本人。
毅然と謝罪する。毅然と妥協する。−という姿勢ってのもあると
思うんですよ。卑屈になったらプライドや誇りは傷つきますが、前向きに
堂々とやれば土下座だってカッコいいんです。
そんなに簡単に傷つく誇りなら持ってたって屁の足しにもなりゃ
しませんって。


以上雑感。